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夫婦の不動産売却で失敗しない方法とは?共有名義や贈与の落とし穴も解説

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夫婦の不動産売却で失敗しない方法とは?共有名義や贈与の落とし穴も解説

夫婦の不動産売却で失敗しない方法とは?共有名義や贈与の落とし穴も解説

2025/07/06

共有名義のまま売却を進めようとすると、片方の同意が得られない、名義変更が完了していない、登記情報が古いままになっているといったトラブルが多発しています。特に離婚後に残されたマイホームの処理や、贈与や財産分与の扱いを巡っての法的リスクは見過ごせません。

 

本記事では、夫婦間売買における共有名義の解消や、持分だけの売却可否、司法書士や弁護士への相談タイミング、共有者の同意が得られない場合の調停や訴訟対応まで、実務の流れと注意点を専門家視点で丁寧に解説します。

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夫婦で不動産を売却する場合に知っておくべき基礎知識とその背景

夫婦共有名義と単独名義の違いとは?法律的な定義と扱いを解説

不動産を夫婦で売却する際、最初に理解すべきは「共有名義」と「単独名義」の違いです。この違いがその後の手続き、税務処理、同意の有無に大きな影響を及ぼします。名義の取り扱いを誤ると、契約無効や税制上の不利益を被る恐れもあるため、正確な知識が必要です。

 

単独名義とは、登記簿上の所有者が1人のみである状態を指します。たとえば、夫単独で住宅ローンを組んで家を購入した場合、登記も夫名義となっていれば、その不動産は夫の単独所有です。この場合、売却には夫の同意と署名だけで足ります。一方、共有名義とは、夫婦それぞれが所有権を保有し、登記簿に両名が記載されている状態です。

 

共有名義の不動産を売却するには、すべての共有者の同意が必須です。仮に妻が1割、夫が9割の持分を持っていたとしても、妻の署名や同意なくしては売却が成立しません。これは民法上の「共有者全員の同意が必要」という原則に基づいており、単独処分は無効とされます。

 

下記の表に、両者の違いと売却時の取り扱いをまとめました。

 

名義区分 所有者 売却時の要件 必要書類
単独名義 夫もしくは妻 名義人の同意・署名のみで可 登記識別情報・印鑑証明書など
共有名義 夫と妻 共有者全員の同意・署名が必要 各名義人の本人確認・印鑑証明等

 

不動産が夫婦共有名義になる典型的なケースと注意点

夫婦共有名義で不動産を所有するケースは少なくありませんが、その背景には多様な動機や制度上の選択が関わっています。共働き家庭が住宅ローンをペアローンで組む際、あるいは夫婦の資金を出し合って購入する際などがその典型例です。共有名義は公平性を重視する一方で、売却や相続時に複雑化するリスクも伴います。

 

主な共有名義となるパターンを以下にまとめます。

 

ケース 名義人 主な背景
ペアローンで購入 夫と妻 収入合算で借入額を増やすため、銀行が両名義を要求
購入費用を折半 夫と妻 平等な所有権を主張する目的
親族の資金援助を受けて購入 夫と妻 贈与税対策や名義分散の目的
結婚後に共同で取得 夫と妻 法的な財産分与を見越して名義を設定

 

共有名義であることで、売却時には全共有者の合意が必要になります。これは相手が売却に同意しない場合、手続きを進めることができないことを意味します。たとえば離婚協議中に共有名義の家を売却しようとしても、もう一方が署名に応じなければ一歩も進まないという実情があります。

 

夫婦のどちらかが単独で売却できるケースは存在するのか?

原則として、夫婦共有名義の不動産は、どちらか一方の判断だけで売却することはできません。民法第251条の規定により、共有物を売却するには「全員の合意」が必要とされています。しかし、一定の条件下では例外が生まれる場合もあります。

 

まず、以下のようなケースでは、事実上単独での売却が可能となることがあります。

 

  1. 他方が持分を放棄し、単独名義に変更済みの場合
  2. 家庭裁判所の調停や審判で「持分処分の許可」が下りた場合
  3. 夫婦間であらかじめ「売却代理権」を委任した場合

 

特に問題になるのが、相手が行方不明、失踪、または認知症等で判断能力が喪失しているケースです。このような場合、共有者が協力できないため、単独で売却できる道を探すことになります。たとえば、成年後見制度を利用して後見人が売却を代理したり、家庭裁判所へ持分売却の許可を申立てる方法があります。

 

ただし、こうした売却には通常よりも時間がかかり、登記や税務の確認事項も増えるため、実務上は非常に煩雑です。トラブル防止のためにも、信頼できる弁護士や不動産専門家の同席を強く推奨します。

 

また、以下のような点にも注意が必要です。

 

  • 名義変更後もローンが残っている場合、銀行の承諾が必要
  • 持分だけの売却は市場価格より低くなりやすい
  • 単独で売却しても、相手の名義分は法的に残るため、完全な所有権移転にはならない

 

登記簿上の所有権と住宅ローン名義のズレが引き起こすトラブル

夫婦で不動産を購入した際、登記名義と住宅ローンの契約名義が一致していないことがしばしば見受けられます。たとえば、妻が登記名義人であるにもかかわらず、住宅ローンの借主は夫のみ、というケースです。この「名義のズレ」は売却時に深刻なトラブルを引き起こす原因となります。

 

最も大きな問題は、抵当権の抹消です。住宅ローンが残っている不動産を売却する際には、金融機関の担保となっている抵当権を抹消しなければなりません。しかし、ローン契約者が登記名義人でない場合、銀行が「担保解除に応じない」ケースがあります。これは、債務者と担保提供者が異なるため、リスクが高いと判断されるためです。

 

以下に、登記名義とローン名義が異なる場合の影響をまとめます。

 

項目 登記名義人:妻 ローン契約者:夫 リスク内容
抵当権の抹消 銀行が拒否するケースあり 売却できない/抹消手続きに時間を要する
住宅ローン控除の適用可否 原則不可(居住+ローン支払+登記要件) 税務署から否認されるリスクあり
売却益の帰属 所有者=妻に帰属 ローン返済との不整合で争いになる可能性

 

このようなズレがある場合には、事前にローンの借り換えや名義変更などを検討する必要があります。しかし、住宅ローンの名義変更は原則として認められていないため、金融機関と交渉し、再契約または一括返済を行うなどの対応が求められます。

 

夫婦間売買における住宅ローンの審査と通る条件とは?

金融機関が住宅ローンを認めない「特別関係者」問題とは

夫婦間での不動産売買を検討する際に最初に直面するのが「住宅ローンが組めない」という壁です。この理由の大半を占めているのが、金融機関が定義する「特別関係者」に該当するためです。夫婦間売買は、客観的に見て市場性のない取引とされやすく、融資リスクが高いと判断される傾向にあります。

 

特別関係者とは、親子や兄弟、夫婦など親族同士の関係にある者であり、一般的な第三者間取引と異なり価格設定や売買の自由度が低いとみなされます。これは不動産鑑定や市場原理が反映されにくく、不透明な取引になりやすいことが背景にあります。

 

金融機関が「融資を認めない主な理由」は以下の通りです。

 

  1. 市場価格と売買価格の整合性が取れていない
  2. 実質的に贈与とみなされる懸念がある
  3. 売却資金が返済に充てられず、資金の循環性に疑問がある
  4. 融資が税制上の控除目的で利用されるケースを警戒している

 

例えば、夫が妻に不動産を1円で売却したとする場合、このような価格は市場価格を無視した「形式的な売買」であるとされ、贈与税の対象になったり、住宅ローン控除が適用されなかったりする可能性が高くなります。

 

金融機関によっては「原則として親族間売買には対応していない」と明言しているケースもあります。特にメガバンクや都市銀行ではこの傾向が顕著であり、融資を受けるハードルはかなり高いです。

 

以下に、金融機関が審査で重視する「リスク項目」と「その判断根拠」をまとめます。

 

リスク項目 審査での懸念内容
売買価格の妥当性 市場価格と著しく乖離していると、形式的売買と判断される
資金の流れ 売却代金が実際に支払われずに名義だけ変更される可能性がある
税務上の問題 贈与とみなされて贈与税が課されるリスク
ローン目的の不透明性 税制優遇目的のためだけの取引は否認されやすい
不動産の評価の適正性 適正な評価額の裏付けがないと担保評価ができない

 

住宅ローン控除は夫婦間売買でも適用される?

夫婦間での不動産売買を検討する際、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)が適用されるかどうかは、資金計画に直結する非常に重要な論点です。一般的に住宅ローン控除は、新築・中古住宅の取得や増改築を行い、一定の要件を満たした場合に、所得税から年末ローン残高の一部が控除される制度です。しかし、この制度はすべての不動産売買に適用されるわけではなく、とくに夫婦間売買のような「親族間売買」に該当するケースでは、厳格な判定基準が存在します。

 

住宅ローン控除の要件において、国税庁は「特別な関係のある者からの取得には適用できない」と定めています。この「特別な関係のある者」には、法的な配偶者や一親等以内の親族などが該当します。つまり、通常は夫婦間の売買においては控除の対象外となるのが原則です。ただし、一定の条件を満たすことで例外的に認められる場合もあります。

 

以下は、住宅ローン控除が夫婦間売買において認められるかどうかを判断するためのチェックポイントです。

 

判定項目 内容 控除の可否の影響
売買価格が時価と乖離していないか 不当に安価または高額でないか 乖離があると「実質的譲渡」と見なされ否認の可能性
夫婦が完全に別居しているか 実態として同居していないこと 同居していると居住要件に該当しない可能性
住宅取得資金の返済義務者と名義人の一致 登記簿とローン契約が整合しているか 不一致の場合、控除対象外となる
金融機関のローン審査が通っているか 通常のローン基準で審査されたか 通らないと売買そのものが成立しない
国税庁の通達に沿った契約書内容か 売買契約書に不備がないか 曖昧な記載があると否認リスク増大

 

特に「売買価格が時価と著しく乖離している」場合や、「形式的に契約だけを行い実態は贈与に近い」とみなされるケースでは、住宅ローン控除は否認されます。加えて、夫婦間の住民票が同一であり、生活実態に変化がないまま形式的に所有権移転を行った場合も、税務署側が「節税目的の仮装売買」として認定するおそれがあります。

 

控除を適用させたい場合には、以下の点をクリアする必要があります。

 

  • 不動産の時価を第三者評価(不動産会社や不動産鑑定士)によって裏付ける
  • 購入代金が実際に金融機関から融資され、返済の実態があること
  • 売買契約書・登記・ローン契約が第三者売買と同様に整っていること
  • 国税庁の「住宅借入金等特別控除の適用に関するQ&A」に沿った対応を行うこと

 

国税庁の公式通達やQ&Aにも、「生計を一にする親族間の売買には住宅ローン控除の適用はない」との記載が明確にありますが、逆に言えば「生計を一にしていないこと」「時価であること」「金銭の流れが明確であること」などの要件を満たせば、適用の可能性があるといえます。

 

税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家と相談しながら、申告時に必要な添付書類(売買契約書の写し・登記事項証明書・残高証明書など)を整備することも重要です。特に夫婦間売買は税務上デリケートな領域であるため、国税庁の見解を十分に理解し、事前に対応を講じることが、控除適用の可否を左右します。

 

審査に必要な書類とローン通過のための準備・事前対策

夫婦間での不動産売買において住宅ローンを組む場合、一般の売買よりも慎重な審査が行われる傾向があります。これは、金融機関が夫婦間売買を「形式的な取引」や「実質的な贈与」と見なすリスクを重視するからです。そのため、通常よりも厳格な書類提出や裏付け資料が必要となり、事前準備の質がローン可決を大きく左右します。

 

まず、夫婦間売買での住宅ローン審査を受ける場合、最低限以下の書類が求められます。

 

書類名 内容 特に重要なチェックポイント
売買契約書 夫婦間の売買であることを明記した契約書 価格設定が時価に近いか、手付金や支払条件があるか
登記事項証明書 対象不動産の登記簿謄本 現在の所有者と売買対象の名義が一致しているか
住宅ローン申込書 金融機関へのローン申請書 借入金額・返済期間・金利タイプが現実的か
金融資産・収入証明 源泉徴収票・課税証明書・預貯金残高証明 安定した収入があるか、返済能力に問題はないか
資金使途説明書 借入資金の用途を示す書類 実際に購入資金として使用されることが明確か

 

審査を通過するためには、これらの書類に記載された情報が一貫性を持ち、かつ第三者にも説明可能である必要があります。たとえば、売買価格が不自然に低すぎると、金融機関から「形式的な取引」と判断され、ローン審査は即座に否決されることがあります。

 

また、売買契約書の文言にも注意が必要です。一般の不動産売買と同様に、「売主・買主の明記」「物件の特定」「代金の額」「引渡し日」「所有権移転時期」などの基本条項が網羅されていない場合、契約そのものの信用性が疑われます。夫婦間だからこそ曖昧に済ませてしまいがちですが、こうした姿勢がローン審査に悪影響を及ぼす要因となります。

 

ローン可決率を高めるための具体的な対策は以下の通りです。

 

  1. 不動産会社や士業を通じて、価格設定と登記内容を第三者的に整合させる
  2. 頭金を用意し、全額ローンでないことを示す(自己資金の存在は信頼性を高める)
  3. 契約書は「親族間売買」専用のフォーマットを活用し、法的に適切な記載とする
  4. 銀行との事前相談(仮審査)を経て、必要書類の内容と精度を高める
  5. 名義変更・登記手続き・住民票の動きなどもローン実行前に整えておく

 

また、実際の現場では「登記上の所有者と住宅ローンの名義人が異なる」「夫婦で共有名義にしていたものを一方の単独名義に変更する」といったケースでは、さらに複雑な手続きや書類が求められます。こうした場合には、司法書士や宅地建物取引士といった専門家の助言を仰ぐことで、ミスを最小限に抑えることができます。

 

夫婦間で不動産売買契約書を作成する際の必須知識と注意点

契約書の法的有効性と記載すべき最低限の項目

夫婦間で不動産売買を行う場合でも、通常の不動産取引と同様に、売買契約書の作成は法律的に不可欠な手続きです。売買契約書は、当事者間で不動産の所有権を移転させる法的根拠となる文書であり、契約が成立した証拠として機能します。特に夫婦間売買では「贈与ではなく対価を伴う取引であること」を明確に示すため、契約内容に不備があると登記申請や税務上の審査に悪影響を及ぼす可能性が高くなります。

 

有効な契約書を作成するうえで、記載すべき最低限の項目は以下の通りです。

 

項目名 解説 不備がある場合のリスク
当事者の氏名・住所 売主・買主の明確な個人情報を記載 契約の当事者が曖昧になり、無効扱いの可能性
不動産の特定 登記簿に記載された所在地・地番・建物の種類など 売買対象が不明確になり、登記手続き不可
売買代金の金額 実際の対価と一致させる必要あり 税務上、贈与と判断される可能性
支払方法・支払期日 現金・ローン・一括・分割などの条件を記載 金銭トラブルの原因になる
所有権移転の時期 通常は代金支払完了後の日を設定 引渡しのタイミングで揉めるリスクがある
引渡し予定日 実際の引越し日や使用開始日など 居住権を巡る問題が発生する可能性
手付金の有無と金額 売買の確実性を高めるための重要項目 契約解除時のトラブルを招く

 

これらは国土交通省の定める「不動産売買標準契約書」にも含まれており、不動産業界の慣例に準拠した記載が求められます。夫婦間という特殊な関係だからこそ、「贈与との区別」を明確にし、実態を伴った対価の支払いを明文化する必要があります。

 

とくに売買代金は、不動産鑑定士や不動産会社による価格査定を参考にして、客観的な時価で設定することが極めて重要です。仮に実勢価格とかけ離れた価格を設定した場合、税務署により「仮装の売買」や「形式的な贈与」とみなされる恐れがあります。その場合、贈与税の課税対象となるリスクが生じます。

 

また、手付金の設定や支払方法の明記は、金銭の授受に関するトラブルを防ぐために重要です。現金取引であっても、銀行振込の記録を残すなど、金銭の流れを明確に可視化することが、後の税務調査や紛争時の証拠になります。

 

親族間売買にありがちなトラブル事例と契約書で防ぐ方法

親族間での不動産売買は信頼関係が前提となるため、形式的な確認を省いてしまいがちです。しかし、相手が親族であっても、正式な契約書を取り交わさなければ多くのトラブルの原因となり得ます。特に不動産売買という高額かつ法的拘束力の強い取引においては、実務的にも法的にもきちんとした手続きが求められます。

 

親族間売買において頻出する代表的なトラブルは以下のようなものです。

 

  1. 売買価格が相場と乖離している
  2. 引き渡し日が曖昧でトラブルになる
  3. 契約書の不備で所有権移転ができない
  4. 贈与とみなされて贈与税が課税される
  5. 税務署から指摘を受けて追徴課税される

 

これらのトラブルは、すべて契約書を適切に整備することで未然に防げるケースが大半です。

 

以下は、具体的な親族間売買で発生しやすい事例と、それを防ぐための契約書記載事項の比較表です。

 

トラブル内容 想定される原因 契約書での防止策
相場より著しく安い価格設定 感覚で価格を決定/不動産会社の査定を省略 第三者による不動産査定額を参考に価格を明記
引き渡し後の所有権トラブル 引き渡し日や条件が契約書に記載されていない 引き渡し日・条件・残金支払いの記載を義務付け
名義変更ができない 法的に無効な契約書である 契約書は法務局提出要件を満たす内容で作成
贈与とみなされ贈与税が課税 実質的な売買実態が乏しい 売買代金の支払証拠・振込明細などを明記し添付
税務署からの否認リスク 契約書が曖昧/価格が不適正 適正な価格・支払方法・目的物件の明記が必須

 

このように、契約書の精度次第で課税やトラブルの回避可否が大きく分かれます。特に「売買価格」は不動産鑑定士や不動産会社による査定を事前に取得し、税務上問題のない範囲で設定する必要があります。また、引き渡し日や手付金の有無、違約時のペナルティなども明確にし、贈与とみなされないように金銭の授受記録も準備しておきましょう。

 

親族間という甘えが生むトラブルを未然に防ぐためには、第三者の専門家の関与も有効です。司法書士や税理士による契約書内容のチェックは、数千円から数万円程度で対応可能なこともあり、長期的なリスク回避においては十分な投資といえるでしょう。

 

共有名義の不動産売却を進める方法と「共有持分売却」の注意点

共有持分とは?共有持分だけを売ることは可能か

不動産が複数人の名義で所有されている場合、それぞれの人が持っている権利割合を「共有持分」と呼びます。共有持分は、民法第249条により明確に定義されており、各共有者は自己の持分に応じた権利行使が可能です。つまり、登記上で自分の持分が明確であれば、理論上は他の共有者の同意なしにその持分を第三者に売却することができます。

 

しかし実務上は「売却可能か」と「売却が成立するか」は大きく異なります。買い手にとって、利用価値や転売のしやすさが制限される共有持分は魅力が薄いため、共有持分買取専門業者に依頼するケースが増えています。共有持分買取市場の形成が進んだことで、数百万円単位での買取事例も出てきており、単独売却は現実味を帯びてきました。

 

一方で、以下のような疑問を持つ方も多いです。

 

・持分だけを売ったら残りの共有者とトラブルにならないか
・家族間で共有している持分でも売れるのか
・持分だけの登記や査定はどうやるのか
・固定資産税の負担割合はどうなるのか
・売却後の名義変更や税金はどうなるのか

 

これらの疑問に対しては、民法、登記法、税法それぞれの理解が必要です。たとえば、持分のみの売却でも譲渡所得税が発生します。譲渡所得税の計算では、取得費や譲渡費用を控除した上で課税されるため、手元に残る金額は想定より少ないことがあります。

 

持分売却時には以下のような資料と準備が求められます。

 

  • 登記事項証明書(全部事項証明書)
  • 固定資産評価証明書
  • 権利証または登記識別情報
  • 本人確認書類(免許証やマイナンバーカード)
  • 売買契約書(買取業者との取引時)

 

売却を考えている場合は、専門の買取業者に「無料査定」を依頼し、査定価格の根拠や取引実績を確認することが重要です。また、司法書士による名義変更手続きや税理士による譲渡所得の申告サポートも検討しましょう。

 

他の共有者が売却に応じない場合の対処法

共有者の中に一人でも売却に反対する人物がいると、不動産全体の売却は原則として不可能になります。このような場合に検討されるべき法的対処方法が、「共有物分割請求」と呼ばれる制度です。

 

民法改正により、共有物の分割請求において「裁判所による分割判断」の柔軟性が増しました。これにより、共有状態を解消するための法的アプローチが以前より使いやすくなっています。

 

代表的な対処法は以下の4つです。

 

  1. 協議による共有物分割
     全共有者が話し合いで合意すれば、不動産を現物分割・代償分割・換価分割のいずれかの方法で分割できます。
  2. 家庭裁判所への調停申し立て
     一方的に拒否された場合、家庭裁判所に調停を申し立てることで第三者を交えた話し合いが可能です。合意が得られればそのまま調書に基づいて登記手続きが進められます。
  3. 地方裁判所への分割訴訟提起
     調停が不成立になった場合、民事訴訟に移行します。最終的には裁判官の判断により「現物分割」か「換価分割」が命じられることになります。
  4. 他の共有者の持分買取交渉
     共有者の一部が売却に前向きな場合、その持分のみを買取る形で合意形成を図ることも有効です。

 

共有不動産の一括売却・持分放棄・代償分割の選択肢比較

共有名義の不動産を整理・解消したい場合には、主に「一括売却」「持分放棄」「代償分割」の3つの手法が検討されます。どの方法を選ぶかによって、必要な手続き、かかる期間、将来的なトラブルのリスクが異なります。特に夫婦間・親族間での共有不動産の場合、感情的な摩擦や誤解を避けるためにも、各手法の特徴を事前に正しく理解しておくことが重要です。

 

「一括売却」とは不動産全体を現金化し、売却代金を各持分割合に応じて分配する方法であり、全員の合意が前提となります。公平性の高い手法ではありますが、意見の相違によって交渉が長引くケースも少なくありません。

 

一方「持分放棄」は、文字通り持分権利を放棄して他の共有者に無償譲渡する手続きです。スピード解決を目指すには適しているものの、税務上の贈与と判断される可能性があり、贈与税の課税リスクに注意が必要です。

 

「代償分割」は、共有者の一人が不動産全体を取得し、他の共有者に代償金(対価)を支払う方法です。この方法は不動産を売らずに残せる利点がありますが、代償金の金額や支払い条件を巡ってトラブルになるケースもあり、専門家のサポートが欠かせません。

 

これら3つの手法には、明確なメリット・デメリットがあります。特に相手が家族や親族である場合は、「公平さ」と「スムーズさ」を両立する方法を探ることが最も重要です。自分たちの状況に最適な選択肢を選ぶ判断材料として活用してください。

 

共有名義を解消するための実践フローと相談先

共有名義不動産の解消を円滑に進めるためには、計画的な手順と専門家の力を借りることが不可欠です。共有状態のまま長期間放置すると、売却が困難になるばかりでなく、相続や贈与のタイミングでさらに複雑な問題が発生することもあります。以下に、実務上の解消フローと相談先を具体的に解説します。

 

まず最初に行うべきは、現在の登記簿謄本を取得し、共有者全員の名義・持分割合を正確に把握することです。登記簿上の情報と実際の認識がズレているケースもあるため、司法書士への確認相談が有効です。

 

次に、共有者同士で協議を行い、どの方法で名義を整理するかの方向性を決定します。この段階では、一括売却・代償分割・持分放棄など、各手法の税務影響やコスト面についても十分検討する必要があります。個別に意見が異なる場合や調整が難航する場合には、弁護士の調整役としての介入も視野に入れるべきです。

 

方針が定まったら、必要な書類の収集と専門家による手続きの実行に入ります。例えば、一括売却の場合は不動産会社への媒介依頼、持分放棄なら登記申請、代償分割であれば代償金支払いの契約書作成など、方法に応じた実務フローが異なります。ここでも司法書士による登記変更、弁護士による契約書精査が重要な役割を果たします。

 

以下のリストに、代表的な相談先とその役割をまとめました。

 

  • 司法書士:登記変更、所有権移転、持分放棄の登記などの法的手続きを担当
  • 弁護士:共有解消に関する調停・訴訟、契約書作成、代償金支払いに関する交渉を支援
  • 税理士:贈与税、譲渡所得税、相続税の試算と申告サポート
  • 不動産会社:一括売却時の価格査定、買主の斡旋、媒介契約の締結など

 

専門家への相談は、できるだけ早い段階で行うことが望ましいです。トラブルが表面化する前に中立的な意見を取り入れることで、不要な費用や時間のロスを最小限に抑えることができます。

 

まとめ

夫婦で不動産を共有している場合、その売却には通常の取引にはない特有の手続きや注意点が伴います。特に名義や持分の扱い、共有者の同意の有無、住宅ローン残債の処理など、見落としがちな要素が絡むため、適切な準備が求められます。

 

共有持分だけを売ることは法的には可能ですが、実際には買い手が見つかりにくい、評価額が下がるといったリスクがつきまといます。また、他の共有者が売却に応じないケースでは、調停や訴訟、共有物分割請求といった法的対応を選択肢として検討しなければなりません。令和5年に民法が改正されたことで、共有不動産の管理・売却に関するルールも変化しており、現行法に即した知識が必要です。

 

一括売却、持分放棄、代償分割といった方法はそれぞれに費用や所要時間、将来的なリスクが異なるため、ケースごとにメリットとデメリットを比較することが重要です。たとえば、一括売却では売却益を公平に分配できますが、全員の同意が必要です。一方で代償分割では特定の共有者が他の持分を買い取ることで全体の所有権を取得でき、スムーズな解消が可能です。

 

実務では、司法書士や弁護士など専門家への相談がスムーズな解決への近道です。不動産登記や契約書の整備だけでなく、税務リスクの軽減やトラブル回避にもつながります。特に財産分与や相続をきっかけとした共有名義の処理には、法的な視点からの対応が求められます。

 

共有名義の不動産をそのままにしておくと、将来的に相続トラブルや資産価値の低下といった問題が発生する可能性があります。今こそ、正しい知識と手順をもとに、納得のいく売却や名義解消に踏み出すタイミングです。専門家のサポートを活用し、将来にわたって安心できる住まいの選択を実現してください。

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よくある質問

Q. 夫婦共有名義の不動産は、片方の同意があれば売却できますか?
A. 原則として共有名義の不動産は、共有者全員の同意がなければ売却は成立しません。仮に一方が勝手に売却手続きを進めても、法的には「無権代理」となり無効となるリスクがあります。令和5年の民法改正により、一部の共有物の管理行為においては多数決で決定可能となりましたが、売却のような「変更行為」は全員一致が必要です。不動産売買契約書の締結には、登記簿上の名義人すべての押印と意思表示が求められ、司法書士による本人確認も行われます。共有名義の不動産をスムーズに売却するには、事前の合意形成と書面整備が不可欠です。

 

Q. 夫婦間で不動産売買契約書を作る場合、雛形だけで本当に問題ないのでしょうか?
A. 雛形だけで済ませるのは非常に危険です。夫婦間売買では価格の不自然さや形式的な取引とみなされることで、税務署に否認されるリスクがあります。実際に国税庁は「形式的売買には住宅ローン控除を認めない」と明記しています。契約書には売買価格、手付金、引渡日、登記日などの記載が必須で、加えて「居住用不動産である証明」「売主と買主の資金関係」などを第三者が見ても明確にわかる内容にする必要があります。弁護士または司法書士による契約書の監修は、後々のトラブル回避と住宅ローン通過率の向上に直結します。結果的に数十万円の損失回避にもなり得るため、専門家の関与が推奨されます。

 

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