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学校法人の不動産売却の許可!解散や統合時の手続と法令遵守ポイント

学校法人が不動産を売却する際、「許可は必要なのか」「理事会や評議員の決議は必須なのか」と悩んでいませんか。手続きが複雑で、判断を誤れば売買契約そのものが無効になるリスクもあります。特に、私立学校法や都道府県知事による認可が絡むケースでは、学校法人としての財産管理の在り方や社会的責任が問われるため、慎重な対応が不可欠です。

 

実際、不動産売却時には、理事や理事長の職務範囲を超える行為がないか、利益相反行為に該当しないかなど、法人内部の規定や法令の遵守が重要なチェックポイントとなります。また、合併や統合、解散といった特殊な状況では、さらに厳格なルールが適用され、許可の有無や手続きの流れが大きく異なります。

 

この記事では、学校法人の不動産売却における許可の必要性を中心に、理事会や評議員による決議の重要性、解散や統合時の財産処分ルール、そして利益相反リスクへの対応策まで、実務レベルで必要な情報を網羅して解説します。

 

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学校法人への不動産売却に許可は必要か?

学校法人の売却時における「基本財産」と「非基本財産」の違い

学校法人が保有する不動産を売却する際、まず理解しておきたいのが基本財産と非基本財産の違いです。学校法人における財産は、主にこの二つに分類され、それぞれ売却に必要な手続きや許可の有無が異なります。これは学校法人会計基準や私立学校法などで定められているルールに基づいており、非常に重要なポイントです。

 

基本財産とは、学校法人が教育活動を行うために欠かせない資産を指します。たとえば、校舎や運動場、教育用地などがこれに該当します。こうした資産は、法人の存続と学校運営に直結しているため、売却や譲渡を行う場合、所轄庁である都道府県知事の許可が必須となります。これは、社会的役割を担う学校法人が簡単に教育資源を手放すことを防ぐための措置でもあります。

 

一方で、非基本財産とは、教育活動に直接関与しない資産です。たとえば、賃貸用の土地や建物、余剰地などがこれに含まれます。非基本財産については、原則として売却の際に所轄庁の許可は不要とされています。しかし、一定の条件によっては例外も存在するため、慎重な判断が求められます。

 

また、基本財産から非基本財産へ用途変更を行った場合でも、売却時には所轄庁への届け出や許可が必要となるケースがあります。このように、基本財産と非基本財産の区別は単なる名称だけではなく、売却の可否や手続きの複雑さに大きく関係するのです。

 

売却を検討する際には、まず自社が所有する不動産がどちらに該当するのかを正確に把握することが重要です。特に、学校法人の理事会や評議員会での決議を経て、正式に売却方針を固める前に、この区別を明確にしておく必要があります。

 

私立学校法や都道府県知事の許可が必要になるケース

学校法人が不動産を売却する際、すべてのケースで許可が必要というわけではありません。しかし、一定の条件下では、法律上必ず所轄庁である都道府県知事の許可を得る必要があります。この許可制度は、学校法人の財務の健全性や公共性を保つために設けられており、非常に重要な位置づけとなっています。

 

まず、基本財産を売却する場合は、原則として都道府県知事の許可が必須となります。基本財産は教育活動の根幹を成す資産であり、これを売却することで法人の運営に支障が生じる可能性があるため、慎重な審査が行われるのです。

 

一方で、非基本財産の売却については、原則として許可は不要です。ただし、非基本財産であっても、売却額が大きい場合や法人の財政状況に大きな影響を及ぼす場合には、届け出や許可が求められることがあります。具体的な基準は都道府県ごとに異なるため、事前に確認することが欠かせません。

 

また、売却先が理事や評議員など法人関係者である場合も注意が必要です。利益相反取引となる恐れがあるため、こうしたケースでは許可が必要とされる場合が多くなります。この点は、私立学校法や各都道府県の私立学校条例などで定められており、違反すると売買契約そのものが無効になるリスクもあるため、慎重に対応する必要があります。

 

許可を得るための手続きは、書類の提出から始まります。売却理由や売却価格、売却後の資金使途などを記載した書類を所轄庁に提出し、審査を受ける流れとなります。審査では、売却が教育活動に与える影響や財務健全性が主にチェックされます。

 

不要な場合と必要になる場合の条件分岐

学校法人が不動産を売却する際、許可が不要なケースと必要になるケースは明確に分かれています。これを正しく理解しておくことで、売却手続きがスムーズに進むだけでなく、トラブルの未然防止にもつながります。

 

まず、非基本財産に分類される不動産で、売却額が小規模である場合や、法人の財務状況にほとんど影響を与えない場合は、基本的に許可は不要です。たとえば、不要となった社宅や遊休地などの売却がこれに該当するケースが多いでしょう。ただし、金額が多額になる場合や、法人の財務に大きなインパクトを与える場合は、所轄庁への届出や許可が必要になることもあります。

 

次に、基本財産を売却する場合は、原則として許可が必須です。これは、学校法人が社会的役割を担う機関であり、教育活動の基盤を安易に手放すことができないという法的背景によるものです。校舎や運動場などの売却を検討する際は、理事会や評議員会での議決を経たうえで、都道府県知事の許可を得る手続きを行う必要があります。

 

さらに、売却先が理事や評議員など法人関係者である場合も注意が必要です。この場合、利益相反取引と見なされる可能性が高く、原則として許可が必要となります。このようなケースでは、売却価格が適正であることを示す第三者評価書の提出が求められることもあります。

 

加えて、売却後の資金使途によっても許可の要否が変わる場合があります。売却益が新たな教育施設の建設や教育環境の充実に充てられる場合は、比較的許可が得やすいとされています。一方、教育活動に直接関係のない用途に使用する場合は、許可が下りにくくなる傾向があります。

 

このように、学校法人の不動産売却における許可の要否は、財産の種類、売却規模、売却先、売却益の使途といった複数の要素によって総合的に判断されます。売却を検討する際は、これらのポイントを踏まえ、事前に十分な準備と確認を行うことが不可欠です。専門家と連携しながら、適切な手続きを踏むことで、スムーズかつ適正な売却が実現できるでしょう。

 

学校法人売却時の特殊な税制優遇と特別控除とは

学校法人が不動産を売却する際の基本税制(譲渡所得・課税関係)

学校法人が所有する不動産を売却する際、一般法人や個人と同様に譲渡所得が発生する可能性があります。まずはこの基本的な税制の仕組みについて理解しておくことが欠かせません。売却に際して得られた利益、すなわち譲渡所得は、法人税の課税対象となります。譲渡所得は、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いた額で算出されます。

 

取得費には購入時の代金や登記費用、仲介手数料などが含まれます。また、譲渡費用としては売却時にかかる仲介手数料や測量費用などが該当します。こうしたコストを差し引いた上での利益部分に対して法人税が課税されるのが基本的な流れです。

 

ここで注意したいのが、学校法人は公益性の高い法人であることから、教育事業以外の収益事業については原則として法人税の課税対象になります。不動産売却は収益事業に該当するケースが多く、結果として法人税の申告と納付が必要になります。

 

一方で、売却する不動産が基本財産である場合には、所轄庁の許可を得る必要があります。この許可を得ずに売却を進めた場合、法令違反となり、売買契約そのものが無効になるリスクがあるため、慎重な対応が求められます。

 

さらに、譲渡所得の計算においては減価償却も重要な要素となります。建物などの減価償却資産を売却する際には、取得時から売却時までの減価償却費を差し引いた帳簿価額を基準として譲渡所得が計算されます。これにより、実際の売却益がより正確に反映されることになります。

 

このように、学校法人による不動産売却における基本的な税制は、譲渡所得の発生とその課税が中心となります。ただし、教育事業の公益性や非課税措置が一部適用される場合もあるため、状況に応じた判断と専門家への相談が欠かせません。

 

特例控除が使えない場合の代替手段と注意点

学校法人が不動産を売却する際、すべてのケースで5000万円特別控除が適用されるわけではありません。特に営利目的とみなされる場合や、取得から短期間で売却される場合など、特別控除の対象外となるケースも存在します。そのため、控除が適用されない場合の対応策を理解しておくことが重要です。

 

まず、特例控除が使えない場合でも、売却に伴う税負担を軽減する方法は複数存在します。その一つが、取得費や譲渡費用の正確な計上です。取得時にかかった諸経費や売却に伴う費用を漏れなく計上することで、譲渡所得の金額を抑えることができます。これにより、法人税の課税対象となる利益を減少させることが可能です。

 

次に、売却のタイミングを調整する方法も有効です。たとえば、決算期前に売却を行うことで、当期の利益と相殺し、法人税の負担を軽減する戦略が考えられます。また、売却益を教育活動や施設の整備など、公益性の高い用途に充てることで、社会的意義を高め、所轄庁からの許可取得をスムーズにすることも可能です。

 

さらに、売却に伴う税負担を分散するために、売却方法を工夫することも一つの方法です。たとえば、分割売却やリースバックなどを活用することで、一度に多額の譲渡所得が発生するのを避けることができます。これにより、年間の所得が均等化され、法人税の負担が緩和される可能性があります。

 

このほかにも、売却益を基金に組み入れる方法や、M&Aを活用した売却手法など、学校法人特有の事情に応じた代替手段が存在します。これらの方法を選択する際には、私立学校法や学校法人会計基準など、関連法令を十分に理解した上で、専門家と連携しながら進めることが不可欠です。

 

特例控除が適用されない場合でも、適切な対策を講じることで、税負担を抑えつつ円滑な売却を実現することは可能です。売却の目的や状況に応じて最適な方法を選択し、慎重に手続きを進めることで、学校法人としての公共性と財務健全性を両立させることができるでしょう。

 

売却する不動産の「地目」「登記」「権利関係」の確認と変更手続き

登記識別情報と地目変更手続きの基本

不動産を売却する際、特に学校法人にとって重要なのは登記や地目に関する正確な理解と適切な手続きです。不動産の登記は、所有権や権利関係を明確にするための公的な記録であり、売買を行う際には不可欠な手続きとなります。その中でも登記識別情報と地目変更については、特に注意が必要です。

 

まず、登記識別情報とは、登記名義人が不動産を売却または譲渡する際に必要となる情報です。これは従来の登記済権利証に代わるもので、登記所が発行する12桁の符号によって構成されています。この情報は、不動産の権利移転登記を申請する際に提出することで、正当な権利者であることを証明します。したがって、売却を進める前に必ず登記識別情報が手元にあるか確認しておくことが求められます。紛失している場合は、事前に再発行手続きを行う必要があります。

 

次に、地目変更手続きについて見ていきましょう。不動産登記法では、土地の用途に応じた地目が登記簿に記載されており、これが実際の利用状況と異なる場合は地目変更登記が必要となります。たとえば、農地だった土地を売却し宅地として利用する場合は、地目を「田」から「宅地」へと変更する手続きを行わなければなりません。

 

地目変更登記の手続きには、まず現況変更後に管轄の法務局に申請を行う必要があります。必要書類としては、登記申請書、登記識別情報、登記事項証明書、変更後の状況を示す図面や写真、土地の利用状況を証明する書類などが求められます。また、変更理由によっては、農地転用許可書や開発許可書などの追加資料が必要になる場合もあります。これらの書類を整えた上で申請を行い、法務局による審査を経て地目変更登記が完了します。

 

地目変更が適切に行われていない場合、売却時にトラブルが生じるリスクがあります。たとえば、買主側が住宅用地としての利用を前提に購入したにもかかわらず、登記上の地目が「田」のままであった場合、住宅ローンの融資が受けられない可能性があるためです。したがって、売却を円滑に進めるためには、地目変更手続きを事前に完了させておくことが極めて重要です。

 

このように、登記識別情報と地目変更手続きは、不動産売却を行う学校法人にとって避けては通れない重要なプロセスです。適切な手続きを行い、売却に向けた準備を万全に整えることで、トラブルを未然に防ぎ、スムーズな取引を実現することができるでしょう。

 

登記、地目、田、地目、宅地の変更方法と課税の違い

不動産売却において、登記上の地目が「田」である場合と「宅地」である場合では、手続きや課税上の取り扱いが大きく異なります。特に学校法人が所有する不動産を売却する際は、これらの違いを正確に理解し、適切な対応を行うことが不可欠です。

 

まず、地目「田」とは農地法に基づく農地の一種であり、農作物の栽培を目的とした土地を指します。これに対して、地目「宅地」は建物の敷地として利用される土地です。農地から宅地への変更、すなわち地目変更を行う場合には、農地転用の手続きが必要になります。農地転用とは、農地を農業以外の目的で使用するための許可を得る手続きであり、農地法第5条に基づき、都道府県知事または農業委員会の許可が必要です。

 

農地転用許可を取得した後、地目変更登記の手続きを進めます。この際には、転用許可書をはじめ、現況を示す写真や図面、登記申請書などの提出が求められます。地目が「宅地」に変更されることで、売却後の用途が明確になり、買主にとっても安心して取引を進めることが可能になります。

 

次に、課税上の違いについてです。地目が「田」のままである場合、売却時に農地法による制限がかかるほか、固定資産税についても農地としての課税が適用されます。農地の固定資産税は宅地に比べて低めに設定されていますが、売却後に宅地として利用される場合は、課税額が増加する可能性があります。

 

また、譲渡所得税についても注意が必要です。売却によって得られた利益は譲渡所得として法人税の対象となりますが、地目変更を行い宅地として売却することで、より高値での売却が可能になる場合があります。結果として譲渡所得が増加し、法人税の負担が重くなる可能性も考えられます。そのため、売却価格と税負担のバランスを考慮し、適切な売却計画を立てることが重要です。

 

このように、地目が「田」と「宅地」である場合には、手続きや課税面で大きな違いが生じます。学校法人が不動産を売却する際には、これらの違いを十分に理解した上で、適切な対応を行うことが求められます。特に農地から宅地への地目変更には時間と手間がかかるため、事前の計画と専門家への相談が不可欠です。円滑な売却を実現するためにも、地目変更と課税の違いを正しく把握し、適切な手続きを進めていくことが大切です。

 

売却時の会計処理と仕訳の知識

固定資産売却益の会計処理(勘定科目・仕訳)

不動産売却は、会計上も税務上も非常に重要なイベントです。特に法人や学校法人においては、売却による損益計上方法を適切に処理しなければ、後の決算や税務申告に悪影響を及ぼす可能性があります。不動産の売却に伴う会計処理は、以下の3つのステップに分けられます。

 

  • 売却代金の受領
  • 売却資産の帳簿除却
  • 売却損益の認識

 

これらの処理はすべて勘定科目を用いた仕訳によって行われます。以下に代表的な仕訳パターンを示します。

 

不動産売却時の仕訳例

 

取引内容 借方(増加) 貸方(減少)
売却代金受領 現金 固定資産売却益
売却資産の帳簿除却 固定資産除却損 固定資産(建物・土地など)
売却益発生時 - 固定資産売却益
売却損発生時 固定資産売却損 -

 

売却代金の受領は、現金または預金で処理されるのが一般的です。また売却対象の固定資産を帳簿から除却する際は、帳簿価格と売却金額の差額を売却益または売却損として認識します。

 

この差額は法人税等の課税対象となるため、税務申告にも直接影響します。減価償却累計額は帳簿価額から控除した上で差額を計算し、適切に仕訳を行う必要があります。

 

さらに売却時に発生する仲介手数料、登記費用等の諸経費は、譲渡原価に算入されます。これにより、売却益が圧縮されるため、税務上のメリットが生まれます。

 

正確な勘定科目と仕訳の適用により、売却時の利益・損失を適切に財務諸表へ反映させ、税務リスクを回避することが求められます。

 

学校法人側の会計処理(基本金の取り崩し・収益処理)

学校法人が不動産を取得する場合、一般企業とは異なり「学校法人会計基準」に基づく特有の処理が必要です。特に教育・研究活動の永続的な維持のために保有する基本財産を取得するケースでは、基本金の取り崩しによる処理が中心となります。

 

基本財産に指定される不動産は、原則として売却や処分が制限されています。しかし、やむを得ず売却を行う場合は、取得時に基本金の取崩しを行い、取得原価を充当する形で処理します。

 

基本財産取得時の仕訳例

 

取引内容 借方(増加) 貸方(減少)
基本金の取り崩し 基本金取崩額 基本金
売却代金の受領 現金 基本財産売却収入
売却対象資産の帳簿除却 基本財産売却損 土地・建物等

 

このように、売却に伴う現金収入は基本金の取り崩しと売却損益の認識を分けて処理します。基本金は学校法人の健全経営と公益性の担保という観点から、売却後も原則として再構築されるべき財源です。

 

売却益が発生した場合は、特別収益として計上し、教育活動の充実に充てられます。一方、売却損が生じた場合は特別損失として処理され、財務諸表上でも適切に表示する必要があります。

 

また、売却にあたっては理事会の決議や所轄庁への報告が不可欠です。これにより、公益性の確保と情報開示の透明性が維持されます。基本財産の売却は学校法人の財政基盤に大きく影響するため、慎重な会計処理と適切な意思決定が求められます。

 

税務署・所轄庁への提出書類と記録保存義務

不動産売却に際しては、税務署および所轄庁への適切な申告と書類の保存が法律で義務付けられています。法人・個人を問わず、これらを怠ることは重大な法令違反につながります。

 

法人や個人が税務署へ提出する基本書類は以下の通りです。

 

税務署への提出書類

 

書類の種類 主な内容
確定申告書(法人税・所得税) 売却益・損失を反映
譲渡所得内訳書(個人の場合) 譲渡価格や経費の内訳
売却損益の明細(法人の場合) 取得原価・売却価額・損益等

 

一方、学校法人が基本財産を売却した場合は、税務署だけでなく所轄庁への報告も不可欠です。

 

学校法人の所轄庁への提出書類

 

書類の種類 主な内容
理事会議事録 売却決議内容
売買契約書の写し 売却内容と条件
売却理由書および売却益・損失処理計画書 公益性と財務処理の説明

 

さらに、法令に基づき一定期間の書類保存義務も存在します。

 

保存が必要な書類と保存期間

 

書類 保存期間
会計帳簿・仕訳帳 7年(法人税法)
不動産売買契約書 7年(法人税法)
基本金関連書類(学校法人) 10年(私立学校法)
理事会議事録 永年(原則)

 

これらの保存は税務調査や監査時に証拠資料として求められるほか、公益法人としての透明性確保のためにも重要です。とくに学校法人では、公益活動を行う機関としての責務から、基本財産売却時の記録を長期にわたり適切に管理する必要があります。

 

学校法人売却とM&A・合併・統合ケースでの注意点

M&Aによる不動産売却と許可手続きの違い

学校法人同士のM&Aは一般企業のM&Aと異なり、教育機関としての公益性と法令遵守が強く求められます。特に不動産売却の局面では、譲渡方法や許可手続きの違いが明確です。通常売却では、法人が自己の裁量で売却を進めることが可能ですが、M&Aの場合は譲受法人と譲渡法人の間で包括的な承継が行われ、手続きが複雑化します。

 

私立学校法や各都道府県の条例では、学校法人の財産を売却する際、理事会および評議員会の決議を経たうえで、所轄庁の許可が必須とされています。これは、学校法人が公益法人であるため、勝手な資産処分が公益性を損なう可能性があるからです。売却金額が適正か、譲渡先が妥当かなど、法令上の観点と社会的信頼性が重要視されます。

 

一方で、M&Aに伴う資産承継は「包括承継」とみなされるため、必ずしも個別の許可が必要とは限りません。ただし、実務上は多くの所轄庁が「実質的な売却」と判断し、事前協議や許可申請を求めるケースが一般的です。

 

以下の表は、通常売却とM&A売却の手続きの違いをまとめたものです。

 

売却方法 許可の要否 必要手続き 主な注意点
通常売却 必要 理事会決議、評議員会承認、所轄庁許可 譲渡価格の妥当性、公平な売却手続き
M&A売却 ケースによる 組織再編計画の策定、所轄庁協議 実質売却とみなされる場合は許可が必要

 

このように、M&Aでは形式上の承継であっても実務上は売却と見なされる場合が多く、慎重な対応が求められます。特に理事会および評議員会の承認を欠かさず、所轄庁との十分な事前調整を行うことが不可欠です。

 

解散・統合時の不動産処分のルール

学校法人が解散または他法人と統合する場合、不動産の処分方法は厳格に規定されています。まず、学校法人は公益法人としての位置付けから、解散時の残余財産は原則として国や地方公共団体、または同種の公益法人に帰属させなければならないとされています。これは私立学校法及び寄附行為によって定められています。

 

統合の場合、統合先法人にすべての権利義務が包括的に承継されるため、通常の売却手続きとは異なり、財産の移転が形式的に行われます。しかし、解散・統合のいずれの場合でも、財産処分にあたっては以下のプロセスを厳守する必要があります。

 

処分事由 財産処分方法 許可の要否 注意点
解散 残余財産は公益目的で処分 所轄庁の許可が必要 公益目的以外の処分は不可
統合 統合先法人に承継 所轄庁への届出が必要 公益目的の維持が前提

 

このように、学校法人の不動産処分は、一般法人と異なり公益性が最優先されるのが特徴です。解散の場合は、営利法人や個人への売却は原則認められず、公益法人への帰属が基本です。統合時も同様に、承継先の法人が教育事業を継続する前提でのみ承認されます。

 

さらに、学校法人は理事会と評議員会での適正な議決を経たうえで、所轄庁に対する手続を完了する必要があります。これらを怠ると、法令違反による解散命令や税制上の不利益を被るリスクもあります。

 

まとめ

学校法人が不動産を売却する際、許可の有無や手続きの方法は極めて重要なポイントです。特に私立学校法や都道府県知事の認可、理事会や評議員の決議といった手続きが正確でなければ、売買そのものが無効となる可能性すらあります。学校法人という公益性の高い組織においては、こうした法令遵守が強く求められるのです。

 

また、通常の売却と異なり、M&Aや解散、統合といったケースでは手続きがさらに複雑化します。例えば合併に伴う不動産譲渡では、単なる売買とは異なり特別な許可が必要となる場合があります。解散時には残余財産の処分について所轄庁の厳格な指導を受けることも一般的です。これらのケースでは、理事会や評議員の適切な決議を経るだけでなく、都道府県知事をはじめとした関係機関との連携も不可欠です。

 

さらに見逃せないのが、理事や役員との取引に伴う利益相反のリスクです。法人内部の規定や寄附行為を遵守し、外部専門家の意見を仰ぎつつ公正な手続きを進めることが、学校法人の信頼を損なわないための鍵となります。

 

この記事では、これら学校法人が不動産売却を行う際に直面する様々な課題と、適切な対応策を詳しく解説しました。リスクを回避し、スムーズかつ合法的に売却を進めるためには、理事長や理事、監事を含む組織内の合意形成と、法的な要件の正確な理解が欠かせません。

 

不動産売却は一度の取引で完結するものではなく、法人の将来や社会的信用に大きな影響を与えます。だからこそ、制度や手続きを正しく理解し、専門家と連携しながら慎重に進めていくことが何より重要です。今回の内容を参考に、確実かつ安心できる売却の第一歩を踏み出してください。

 

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よくある質問

Q.学校法人への不動産売却では必ず許可が必要なのでしょうか
A.不動産売却における許可の要否は売却対象が基本財産か非基本財産かによって異なります。基本財産は原則として都道府県知事の許可が必要ですが、非基本財産の場合は許可不要となるケースも多いのが特徴です。ただし、売却額が高額だったり、重要な学校法人の財産である場合には、非基本財産でも理事会の決議や所轄庁への届出が求められることがあります。判断を誤ると売却そのものが無効になる恐れがあるため、必ず専門家と相談し許可要否を慎重に検討することが大切です。

 

Q.M&Aで学校法人の不動産を売却する場合、通常売却と許可手続きは異なりますか
A.M&Aを伴う不動産売却では、単なる売買とは異なる特別な許可手続きが必要になるケースがあります。例えば合併により不動産が移転する場合、私立学校法に基づき都道府県知事の認可を受ける必要があります。一方、通常の売却では基本財産か非基本財産かにより手続きが異なります。このように、M&Aによる売却は組織再編という特別な事情が伴うため、法令と寄附行為を厳格に確認し、理事会や評議員の決議を経た上で慎重に進めることが不可欠です。

 

Q.売却する不動産の登記や地目はどのように確認・変更するのでしょうか
A.売却前の不動産登記と地目の確認は非常に重要です。登記識別情報や地目を確認し、例えば田から宅地への変更が必要な場合は、事前に地目変更登記を行わなければ売却後の用途に支障が出る恐れがあります。また、地目が牧場や鉄道用地といった特殊な場合は、変更手続きがさらに複雑になります。これらの手続きは法務局を通じて行い、必要書類や申請内容を正確に整えることが求められます。手続きを怠ると税金計算や売却後の利用に悪影響を及ぼすため、専門家のサポートを受けることが安全です。

 

会社概要

会社名・・・株式会社MINAMI

所在地・・・〒250-0874 神奈川県小田原市鴨宮343−2 A 203

電話番号・・・0465-43-9873